森下よしみは2003年度一般会計予算に反対の討論を行いました。
ただいま議題となっています議案第1号、平成15年度八幡市一般会計予算案に対し、日本共産党八幡市議会議員団を代表し、反対の立場から討論を行います。
日本経済の落ち込みは、失業が過去最悪水準で個人消費も設備投資も冷え込むなどますます深刻です。アメリカの無法な戦争で世界と日本の経済が被る打撃への不安も高まっています。こういうときに、社会保障と税制の改悪で合わせて4兆円以上の負担増を国民に押しつける小泉内閣による政のもと 税財源を伴わない地方分権を叫ぶやり方に対し、地方からストップの声を広げていくことが今求められています。 そのような中で、平成15年度予算案は、牟礼市政の任期最後の年でもあり、第3次総合計画における第3次実施計画最後の年でもあり明るい未来への展望と、市民のくらしを応援する市政が求められているところでありますが、残念ながら財政面では職員給料の削減をはじめ、経常経費の削減、団体補助金の削減などを行い、市民負担増と我慢を押しつける内容になっています。具体的に見てみますと、
まちづくりについては、代表質問や予算特別委員会の論議を通じて、市長が一貫して行おうとしてきた大型高速道路網を中心としたまちづくりの破綻が明らかになりました。国と府、八幡市が協調して行おうとしたまちづくりの基盤である、第二名神自動車道は全国的な大型公共事業見直しの中、全く建設のめどが立っていません。第二京阪道路は、高速道路部分のみが部分開通されますが、市民が期待をしている木津川を渡る一般道路の供用もめどが立っていません。さらに京都第二外環状道路のアクセス道路として、また北の玄関八幡市駅に至る道路としての御幸橋のかけかえも、木津川部分では平成21年以降になることが明らかになっています。このように大型道路を中心としたまちづくりは破綻し、一方市民生活に密着した道路は大きく立ち後れているという状態は、市民の利便性に責任を持ったまちづくりとはいえません。
また市長が施政方針で、街のにぎわいと活性化の兆しが現れたと自負されている松花堂美術館と、流れ橋交流プラザ2つの交流拠点事業はどうでしょうか。私たちは、この2つの事業は、今日の八幡市にとっては不要・不急の事業として、整備・建設を反対してきましたが、昨年オープンした松花堂美術館は運営費が約1億円。そのほとんどが市の単費です。予測したより来館者が少なく減額補正を行い、四季彩館は開館当初から採算が危ぶまれる状況です。この不況下、これらが市にとって大きな負担となっていることは明らかではないでしょうか。そのしわ寄せが市民生活施策切り捨てにつながっています。
H15年度予算案における福祉施策はどうでしょうか。
介護保険料は、全国的に負担を少なくするための努力がなされている中、65歳以上の1号保険者の保険料を、5段階を6段階にし、多少所得に応じた累進性をとったものの基準額となる3段階で見れば、2700円を3260円へと20%もの値上げをしています。老人医療の値上げに続く負担増に拍車をかけています。そして介護保険会計全体で保険料収入を1億円も増やしています。さらに、所得の低い人を対象とする保険料減免制度を廃止しました。これは全国各地で広がりつつある、減免制度の取り組みに逆行するもので、保険料が払えない人を介護保険制度から排除することにつながるつめたいしうちであり、許し難いことです。子育て支援の分野では、2年連続の保育料の値上げをする一方で同和保育料の見直しはまだ(一般の)70%に軽減を行っています。
また乳幼児医療助成策については、市民と日本共産党の運動におされ、京都府の施策に合わせて、9月から入院は小学校入学前まで無料に、通院・外来は3歳以上は8000円を超える金額を助成する予算を計上しました。これらは市民からは喜ばれていますが、通院の助成はきわめて限定的であり、通院・外来における就学前まで無料化の拡充が求められているところです。先ほど修正案で提案したとおり、市長がその気になれば出来ることです。
また長年不足する市民の医療を保障してきた国民健康保険診療所の廃止は、受診している市民があるにもかかわらず、また市内に不足している診療科目の検討を行うなど努力もされていません。また国民健康保険においては、高すぎる保険税が払えない世帯や、保険証を持っていない人が増えてる中でも、2億6968万円の基金をためています。私ども日本共産党は、これらを活用して税の引き下げを行うこと、低所得者のための医療減免の取り組みを求めてきましたが、取り組まれていません。このように厳しい不況かで、市民の命と暮らしを応援する立場に立つことが求められているにもかかわらず、それらに答えた予算とはとうていいえないものです。
教育施策についてはどうでしょうか。学校校舎の老朽化対策としては本年度は中央小学校の大規模改造工事をH14年度補正を繰り越して行うものの、今後耐震補強を優先として大規模改造工事計画は課題からはずしています。また週5日制に伴い、学力の保障が強く求められている中、南ヶ丘教育集会所の運営に3400万円を超える予算が計上されています。これは学校を中心としたものに組みかえるべきです。また学校における不登校児童、生徒が増える中、充分な相談体制と幅広い援助が求められています。
同和事業の終結に向けては、先ほど修正案でも指摘提案いたしましたが、部落問題を解決する上からもすべての特別対策を終結すべきです。山城地区市町村連絡協議会の負担金の削除や、部落解放基本法制定国民要求実行委員会の補助金の削除については、八幡市の主体性のなさが目立ちます。保育料の同和減免の存続と一般保育料の引き上げは、部落問題を解決するうえで二重の誤りを犯していると言えます。速やかに私たち日本共産党の提案を取り入れるべきです。また、浴場運営、隣保館運営、公営住宅についても速やかに一般対策化を行うべきです。特に公営住宅については、一般入居は、H14年度から実施されなければならないところ先延ばしされ、さらに入居判定に際して公平な抽選を行うよう求めるものです。
行財政改革について、今後施設の管理運営のあり方や、学校再編整備計画など市民生活やサービスに大きく影響するものであり、充分関係機関と協議を持ち、市民サービスを低下させないことを配慮されるようよう望むところです。また、各種基本計画が予定されていますが、これらについては公開を原則とし、充分市民の意見を聞くよう求めるところです。
H15年度予算は以上述べてきましたとおり、厳しい不況のときには市民を守る側に立たなければならない市が、不況にあえぐ市民に逆に追い打ちをかけるような予算になっていることなど、全く許せないことです。市長の市町村合併への幻想は、非現実的なものとなり、不要不急の施設づくりに大きな借金を重ね、破綻している大型道路中心のまちづくりになんら反省もないのは残念であります。今後牟礼市長最後の締めくくりの年度として、市民サービス向上に向けて進めていただきますよう要望いたします。
最後に、この間の市長の市政運営を見ていますと、職員と一丸になって市政を切り開いていくという姿勢が見られないということを指摘し、日本共産党八幡市議会議員団を代表しての反対の討論といたします。
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